二足のわらじを履くメッセンジャー

スタジオターン 浦田 剛大さん

 

どちらも本業、木工家具作家とミュージシャン。

 

いとしまにあ8月号で取材させていただいたプロギタリスト波多江崇行さんのご紹介で、志摩小富士にあるスタジオターンを訪ねました。主の名は浦田 剛大(うらた たけひろ)さん。お二人は音楽仲間で、浦田さんは木工家具作家とプロミュージシャンの二足のわらじを履くちょっと珍しいアーティストです。どちらが本業ということではなく、どちらもプロとしての活動を貫いています。

グラフィックデザイナーだったというお父さんの影響が強く、幼少の頃の遊びはもっぱらお絵かきで、デザイン資料が教科書だったと言います。また、デザイン事務所は音楽を聞きながら仕事をするのが普通で、デュランデュランやYMOを聞いて育ちました。ですから妙に大人びたちょっと変わった子と見られることが多く、友達も少なかった為、心配したお父さんのすすめで小学生の時にドラムを習い始めたのが楽器を演奏するきっかけになりました。

学校は九州産業大学芸術学部に進学し、彫刻を学びながら、様々なバンドの演奏のスケットをするセミプロのミュージシャンとして活躍するようになります。21歳のときには阪神淡路大震災にボランティアとして参加。慰問で唄を歌い、支援物資の管理を請け負います。避難生活を目の当たりにして、それまで朧気ながらに考えていた「彫刻と音楽の融合」というテーマが、「誰かの為に自分のやりたいことが社会的に成立できればこんなすばらしいことはない。やりたいことをずっと続けて行こう」と決心し、彫刻からオーダー家具の作家へ、演奏ミュージシャンからメッセージソングの歌い手へと変化し、今のスタイルを確率する大きな転機となったそうです。

大学卒業後に筑紫野市でオーダー家具の工房をスタート。とは言っても家具作りは始めてで、最初は古道具屋さんからイメージに近い家具を購入し、バラバラに分解して徹底的に構造を研究し、サンプルを見本にして作っていたそうです。家具作りは一見技術的な部分に目が行きがちですが、浦田さん曰く、アイデア9割で技術が1割。誰に師事するでもなく、細かな部分までを独学したことが、今の家具作りを支える大きな武器になっているようです。

一般的には専門性の高い木工作家とミュージシャンの両立は難しいのではないかと思います。浦田さんの育った環境と独自の感性、木工と音楽どちらも芸術であるという共通点があって成し得ているもの。「音楽と、木と向き合う仕事、どっちも楽しくて、やめられないんだよね」という言葉の通り、浦田さんの生き方そのものがメッセージソングになっているように感じました。

また、「プロでなくとも、生活の中にそれぞれのサイズの芸術を取りれて、メッセージを発信し続け、日々を充実させていくことが大切なのではないでしょうか」ともおっしゃっていました。

糸島に移り住んでちょうど10年。「木工や音楽に限ったことではありませんが、今後はここ糸島を、経済面も含めてプロのアーティストが活動できる、発信(表現者)と受信(消費者)が地元で成立する表現の場所にして行きたいですね」と抱負を語っくれました。


Studio TARN(スタジオ・ターン)

福岡県糸島市志摩小富士1702-1

TEL092-328-2365

http://www.twoone.net/ta.home.html

 

特注家具を製作し、すぐに納品してしまうため、展示できる作品がほとんどありませんが、作品集をパソコン画像などで見ていただくことができます。

木切れも大切にしたい気持ちから生み出した小さなものたちは、その場で購入いただけます。

お時間があれば、美味しいコーヒーをサービスできるかも。

 

★CDのご購入申し込みは、浦田剛大の音楽事務所TA-21まで、お願いします。