フィレンツェ(イタリア)の風景を制作中の内藤さん
フィレンツェ(イタリア)の風景を制作中の内藤さん

東京の電通マンが福岡を愛して35年

福岡広告協会 事務局長 内藤 謙一

 

糸島の美しい自然を記憶にとどめておくために。

 

多摩美大を卒業後、電通東京本社の制作局に入社され、大手企業の数々のTVCMなどを世に送り出した電通マンが、縁あって福岡に赴任したのが昭和54年。3年間の福岡生活がすっかり気に入り、その後帰京するも依願転勤までして永住する福岡。どこが気に入ったのかと尋ねると、「まずは、活きの良い魚。そして、海のきれいな処。それに何と言っても博多祗園山笠だね。」「福岡は、都市の中心から自然と対峙できる場所まで、すぐ近くだから便利だよね。またこれだけ都会と自然がコンパクトにまとまっている街は他にないんじゃない。」と、内藤さん。生まれ育ったのが東京の中野といえど下町だったから、当然という気持ちもしないではありませんが、山笠にはいま現在も参加されており、西流の赤手拭を務めたこともあるそうです。もうすっかり山のぼせになっているのだとか。最近になって、糸島の木工家具工房の西さんとのコラボ展示会で内藤さんの絵画の事を知ったのですが、絵のキャリアは相当なもので、TVで檀一雄さんのポルトガルへの足跡というよ

うな番組を観て感銘を覚え、いますぐ行きたいという衝動にかられ一ヶ月の休暇願を出し、ヨーロッパへ旅立ちました。そこで印象に残った風物は何でもスケッチを重ねたのが始まりだとか。スケッチブックを拝見したのですが、何とその数、数十冊。旅行先だから愛用のペンで下書きもせずに、いきなり構図を考えながらスラスラと。その日食べたものから列車の中まで、気づいた事をエッセイやメモと共に描き記す。写真よりも印象的で、観ているうちに行ってきたような感じさえしました。帰国後に記憶によって彩色されており、ちょうど伺った際にも、フィレンツェの風景を彩色中で、空の色を茜色にし、それによって川面の色も決めたいとおっしゃっていました。

趣味は空手と俳句。何とも多芸です。この4月からは九産大芸術学部へ非常勤講師として招かれ、映像の授業に俳句の知識が役立っているとか。今後は糸島の風景を精力的にスケッチして、個展そして画集にまとめたいとおっしゃっていました。

最後に、好きな事をさせてもらっているのは、奥様のおかげと感謝されていました。

 

★内藤さんの作品を見たい方は、

http://www.bridgeplus.co.jp/shop/html/