「厨房は食材の産地に作るべき」という深佐シェフ

海猫軒(うみねこけん)

 

糸島の自然が育てた食材にこだわり、「ユーロ・アジアン」で女性を幸せに。

 

今回ご紹介するのは、料理店「海猫軒」を経営しているオーナーシェフ深佐豊久さんです。全国各地で料理の経験を積み、2001年糸島市志摩芥屋に「海猫軒」をオープン。以来、糸島の食材をメインに使用したユーロ・アジアン料理を提供しています。

★和食×フレンチ×イタリアン=ユーロ・アジアン料理 

ユーロ・アジアンというと聞きなれない料理名ですが、飽きがこない季節を味わえる和食をベースに、フレンチやイタリアンなどの優れた部分を取り入れた料理です。例えばフレンチには保存に優れた料理が多いそうなのですが、海猫軒のスイーツには日持ちのするフレンチの古典菓子が数多く登場します。永年の料理経験と、何事にも囚われない自由な発想から生まれた、深佐さん独自のスタイルです。

★野菜や魚、糸島の食材は宝物 

深佐スタイルのもうひとつの特徴は食材です。「厨房は食材の産地に作るべき」というだけあって、海猫軒で使用する食材の8割は糸島産。「独特の苦味があり、酢につけると美しいピンク色になる“芥屋かぶ”というのがあって、同じ糸島内で栽培しても不思議と芥屋産のものにしかその特徴が表れないんです。だからこそ“芥屋かぶ”なのでしょうが、独特の野菜が多いのもこの土地の魅力です」と、食材について語る深佐さんは実に楽しそう。「僕は身近なところで旬の食材が手に入る鹿児島の田舎で育ちました。だからなのか小学生の頃には自然と料理をするようになりました」。深佐さんの食材に対するこだわりは、きっとこの頃に培われたものなのでしょう。

★人と人のつながりが糸島らしさ 

深佐さんは全国各地で経験を積んだ後、1980年代後半から志摩の海岸線に建つ店に勤務する。この周辺は今でこそ多くの飲食店が立ち並ぶ行楽スポットですが、当時は店らしきものはほとんどなかったそうです。「糸島に来てから今まで多くの人に助けられて来ました。今の僕があるのはそんな人たちのお陰です。自然や歴史、食材など、芥屋にはたくさんの宝物が眠っていますが、“人”もそんな宝物のひとつだと思います」。

★仲間を集めてレストランをつくりたい 

人と人のつながりをとても大切にしている深佐さんには、日本国内をはじめ、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・タイ・ドバイなどのホテルやレストランで活躍する仲間がたくさんいらっしゃいます。「世界中にいる仲間を全員集めてレストランをつくりたい。それが今の僕の夢なんです。開業の地はもちろん糸島です」と、実現に向けまるで少年のように目を輝かせる深佐でした。

★女性が幸せになる料理を

「女性が涙を流さず、幸せに暮らせる国であるために、料理に腕をふるう」。これは10代半ばからの一貫した深佐さんのポリシーだそうです。それは、女性の幸せは家庭・地域・国の幸せにも繋がるという思いから。外国の食材を追い求めなくとも、地元に素晴らしいものが残っている。「日本人が日本人らしく生きられる食事を作っていきたい」。深佐さんの想いは糸島の地にもつがっている。


海猫軒(うみねこけん)

子どもの頃から宮沢賢治が好きという深佐さん。店名は「注文の多い料理店」に出てくる「山猫軒」からいただいたもの。

糸島市志摩芥屋914-2TEL(092)328-3117・営業時間12:00

    ランチ2,000円~ ■ディナー4,500円~ ■各種アラカルトも取り揃えております。

17時以降にご来店の際は事前にご予約ください。