どこから観ても沖縄人のシーサー作家

シーサー工房 木与井窯 主宰 米倉 俊介

 

柔和で愛嬌もある作家に似るという守り像。

 

お会いした瞬間から沖縄のサンシンの音が聞こえてきそうな「木与井窯」の米倉さん親子を訪ねてきました。見るからにお二人とも濃いお顔立ちをされているので、「沖縄からいつ来られたんですか?」とたずねると、「沖縄の陶房で三年間修行はしましたが、実は福岡市の出身なんですよ。」「沖縄の方からも島んちゅうねと、間違われました。」と、すかさずお母さん。どなたとお会いしてもやはり、沖縄の方と思われるそうですが、そんな事は大した事ではないのです。シーサーを作られる事自体がすでにすっかり沖縄人なのですから。どこかで導かれる運命だったのでしょう。「木与井窯」ちょっと変わった工房名です。お聞きすると近くにある桜井神社の「与止姫」から「与」を、それに陶芸に関係の深い「木」と「井(水)」を合わせてつけられたそうです。 シーサーとは、沖縄県などでみられる伝説の獣の像の事で、主に建物の門や屋根などに据え付けられ、家や人、村に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除けの意味を持ちます。名前の由来は「獅子(しし)」を沖縄方言で発音したものです。スフィンクスや中国の石獅、日本本土の狛犬などと同じ

く、源流は古代オリエントのライオンもしくは犬と伝えられています。 諸説あるようですが、「木与井窯」さんでは向かって左側に「口の閉じた雄」を、 右側に「口の開いた雌」を据えつけるそうです。

日本の神社の狛犬のように阿吽(あ・うん)の関係だそうです。また、雄はあらゆる災難を家に入れず、雌は福を招き入れるとされる縁起物のようです。

 敷地内には大きく重量もあるシーサーを置かれていましたが、、工房内にはお土産として持ち帰りしやすいような小さな物まで用意されていました。食器などの陶器と異なり、塊であるために乾きや焼きに日数がかかるそうです。作品の特徴としては、魔除けのわりには大変愛嬌があり、親しみやすさを覚えます。きっと大らかに守ってくれるでしょう。余談ですが工房の敷地には、珍しい植物を栽培されており、溶岩石と上手にマッチする独創的なお庭がとても気に入りました。これはお母さんのセンスとお見受けしました。いろんなお話が聞けそうなので、一度お気軽に立ち寄ると良いですよ。

 

木与井窯

糸島市志摩桜井4796-4

TEL092-327-1304

営業時間/平日10:00~17:00

定休日/不定休

駐車場有り